バルーチの硬質デザインでひんやり
夏に向かって順調に太陽が凶悪になってゆくのを肌で感じる季節となりました。
こうして暑くなると、赤色や橙色など暖色を見るのすら嫌になる方も多いでしょう。
しかし世の中広いもので、何事にも例外があります。
例えば今回ご紹介するバルーチ族の絨毯の色は、その幾何学的で硬質感のあるデザインによって「暖かさ」とはだいぶイメージを異にします。
個人的には毛足の短さも相まって、寒色系のギャッベよりも暑苦しさは抑えめなのでは?と考えております。
むしろその硬質さにひんやりとした質感を覚え、納涼できる絨毯ですらある気がします。
そんな偏見の下、改めて今回はバルーチ族の絨毯を「ちょい長細めサイズ」でご紹介します。
1枚目は220cm×84cmのマヒの繰り返し紋様です。
マヒといえばタブリーズが代表的な小魚・うろこ紋様ですが、トライバルラグだとこうなるようです。
筆者はこの記事を書くときにはじめて、この紋様もマヒであると知り衝撃を受けました。
閑話休題、全体的に黒が多く暖色も抑えめなので、とにかくダンディです。
近くで見ると花の紋様が全体にあり華やかですが、全体の印象は日陰で冷やされた花崗岩のようなひんやりとした質感です。
2枚目は197cm×98.5cmのライオンと孔雀、そして推定メダリオンかギュルと思わしき謎の紋様が織られた作品です。
硬質さよりもバルーチのもう一つの側面、可愛らしい動物寄りなので涼しさはあまり感じません。
でも大きさが似ているので載せます。載せるったら載せます。
ライオンがサルにしか見えませんが、そこは愛嬌です。
3枚目は154cm×87.5cmのギュルによく似た八角形の連続紋様です。
今回ご紹介する中では最も小さく、柄も相まって場所を選ばない1枚です。
整然と並んだ八角形は ペルシア建築を彩るタイルを思わせます。
そう考えればひんやりしてきませんか?(かなりのこじつけであることは筆者が一番理解しております。)
最後は288cm×86cmの菱形紋様です。
トライバルラグにおける菱形は何とも分類が難しく、さらにバルーチ族は他部族の様式を積極的に取り込んでいます。故に梨納さん曰く、菱形は障害の研究テーマになるそうです。
4枚の中では一番シンプルな分、どこにでもとけこめそうでした。
以上が今回ご紹介絨毯でした。
またお会いしましょう。