【文化・歴史】バルーチ族
皆様こんにちは。
今回はペルシャギャラリーにおけるトライバルラグの代表格・バルーチ族についてです。
ペルシャギャラリーにおいてバルーチ族の絨毯といえば、サイズが豊富でシックな色合い故多様なシチュエーションに対応できる人気の部族です。
直線的で幾何学的な紋様はとにかく格好良い一方、鳥や花を描く際には子供の絵のようで捉えどころがないように思えます。
それゆえ多くの人に愛され、市場に多く出回る一因と考えられます。
織り方については、幾何学模様を正確に表現できるほど、織っている最中に対称性を維持できる高い技術が一番の魅力です。
また両側のシラゼと呼ばれる耳の部分が山羊の毛で織られている場合、通常の絨毯よりも幅が長くとられる傾向にあります。
これは絨毯において最も傷みやすいのがシラゼであるため、頑丈な山羊の毛を使うことで少しでも長持ちさせようという工夫によるものと思われます。
同様の工夫は他の部族にも見られますが、個人的な感想ではこれだけしっかり幅を取るのはバルーチ族くらいな気がします。
この山羊の毛はまっこと丈夫なので、トライバルラグで頑丈さを求める人はぜひ商品を選ぶ目安にしてくださいませ。
さて、ここまでバルーチ族の絨毯について書いてきましたが、彼らそのものはどのような背景をもっているのでしょうか?
一般的にバルーチ族はバルチスターン地方に暮らすイラン系民族といわれています。
バルチスターン地方は東イラン・アフガニスタン・パキスタンに跨るエリアで、「バルーチ(バローチ)人の土地」という意味です。ご存知の通り大英帝国の植民地支配の名残によって、国境を跨って広範囲に分布する部族となっています。
特に州の名前として「バルチスターン州」が存在するパキスタンでは、20世紀後半以降パキスタン政府に強制併合されたこともあって、バルーチ民族主義運動が起きるなど不安定な情勢が続いています。
こうした物騒な雰囲気はイラン国内のバルーチ族居住エリアにも及んでおり、「外務省 海外安全ホームページ」では渡航中止勧告が出ている危険地帯となっています。
このようにかなり危険な地域の上、危険に巻き込まれても地元政府には「そんなところにわざわざ行った奴の自業自得」的対応をされます。助けが期待できないので絶対に行かないでください。(店主父娘も避けております。)
こうした背景を踏まえると、おうちにバルーチ絨毯を敷いた際に見える景色が少し変わってきたのではないでしょうか?
まだまだ書き足りませんが今回はこの辺で。
ありがとうございました。