秋の正倉院展へ
2021/10/16
車を走らせるだけで紅葉狩りをしたような気分になります。
店の前を通る大学生もマフラーやコートを羽織るようになりました、皆様いかがお過ごしでしょうか?
先日、一年に一度一カ月間だけ公開される正倉院展を「今年こそは逃すまい!」と奈良へ出掛けて参りました。
正倉院に伝わる奈良時代の宝物9000件の中から毎年一部だけ公開されるのが正倉院展。
第69回となる今年は58件が出展されていました。
今回の正倉院展の目玉は聖武天皇が身近に飾っていたと伝えられている羊木臈纈屏風(ひつじぎろうけちのびょうぶ)と呼ばれる屏風。
この屏風にはろうけつ染め(※溶かしたろうを筆などで布に塗り、模様を描いた上から布を染色し、ろうを落として水洗いする染め方)という手法が使われているとか…ペルシャ風の巻角の愛らしい羊が描かれていますよ
羊の胴体には三角の模様が見られ、これは中国・新疆(しんきょう)ウイグル自治区トルファンの織物に似ていると言われており、シルクロードの西から東への旅を彷彿させるデザインです。
完全に日本で作られたというこちらの屏風、シルクロードの交易路を通じて大陸文化の伝来が盛んであったことが伺えます。
時は8世紀、聖武天皇はシルクロードの各地に想いを馳せ、この屏風を眺めていたことでしょう~
他にも、緑瑠璃十二曲長杯(みどりるりのじゅうにきょくちょうはい)と呼ばれる、ペルシャらし~い曲線の目立つ杯も見ることができました。
(一枚目写真の右手です↑)
これはとても細長い杯で、226年~651年に栄えたササン朝ペルシアのスタイルをひいています。
この様式はササン朝ペルシアから東アジアやヨーロッパへ伝わり、今回展示されていたものはササン朝ペルシアの影響を受けて中国で作られたものとされています。
瑠璃色が美しいこの杯には、現在のイラン国旗の中央に描かれるチューリップや、アンティークの絨毯のデザインにも登場することが多いウサギが刻まれていました。
8世紀にユーラシア大陸全域で親しまれ、宮廷ではこれを手にした華やかな祝宴が繰り広げられていたことでしょう✨
一年に一度、国宝を目にできるとだけあって平日にも関わらず会場はすし詰め状態でしたが(…💦)、遥か1200年も昔にこれを手にし自分と同じように感動した人が居たのかと思うと、時を経ても変わらない工芸品の素晴らしさに想いを馳せました。
タイムスリップをしたかのように吸い込まれた一日でした♡
第69回正倉院展は11月13日(月)まで奈良国立博物館で開催中です。
奈良も色づいた紅葉と涼しい風が心地良いことでしょう、人懐っこい鹿と鑑賞後のお散歩もオススメですよ☆
明日からお休みの方も多いかと存じます、素敵な秋の夜長をお過ごしくださいませ~