ペルシャ絨毯の中に見る『水の物語』
2021/10/16
ペルシャギャラリーの小島です。
先日の白鳥庭園で開催させて頂いたイベントより当店アジ・アリのフリートークショーでのテーマ『ペルシャ絨毯の中に見る水の物語』より一部内容をご案内いたします。
イランの年間降雨量は日本の約八分の一です。そのイランで『水』は生命の源として古代より神聖なものとされてきました。古代遺跡には水の女神であるアナヒーターが壺を持った像がしばしば見られます。このような中で古来よりイランの人々はペルシャ絨毯の中にも水への思いを表してきました。
楽園紋様 は枯渇している大地に住むイランの人々が楽園をイメージしたデザインです。豊かに流れる川を中心に、水鳥が戯れ様々な樹木や花々等が豊かに育っている様子が描かれています。自然の水が生み出した楽園です。
メダリオン には諸説がありますが水場を表していると言われています。遊牧民が織る絨毯ではそのメダリオンは菱形であったり、都市の工房の絨毯では円形に近い形でその波紋もデザインされていることもあります。メダリオンの周りにはその豊かさを示すかのように花や植物が織り込まれることが多いです。
庭園紋様 は周辺の水場から水を引き四角に区切った庭に様々な樹木、植物が育てられ生き生きとした花をつけることを表し水の豊かさを示したデザインです。乾いた大地に造られるイランの庭園は日本の自然を再現する庭園と違った趣です。
マヒ とはペルシャ語で『魚』を意味する言葉です。こういったある細かなデザインを『マヒ』と呼ぶのですが、細かい紋様が魚の鱗であったり、小さな魚に見えることからこのように呼ばれています。イランでは北部にカスピ海、南部にペルシャ湾があり他にも湖や枯渇してしまいそうな河川はありますが、日本のように海に囲まれ、豊かな河川が豊富ではありません。魚は豊かな水の象徴です。イランのお正月飾は生きている金魚を飾る風習があり生命の象徴と言われています。
花瓶紋様 のデザインは花瓶、壺の中の水を連想させるものです。そこに生けられた花々は溢れんばかりに豊かに咲きほこり水の豊かさを表しています。
またこれからもいろいろな角度からペルシャ絨毯をお伝えしたいと思います。
どうぞ宜しくお願い致します。